翌朝、私たちを朝日が迎えてくれました。
小屋を出て硫黄岳へ。薄暗い午前五時だけど空は明るい。
木々の間から朝日を浴びる硫黄岳が見えて歓声が上がる。
寒くて濡れた昨日とは大違い。今日は山を楽しめると期待が膨らみました。ハシゴやつづら折りが出てきて苦しくとも、苦しくとも、ヒマせず赤岩の頭へ到着。
バーンと広がる景色に喜ぶ一同。
広がる風景の写真がなくてごめんなさい。風速計で測定中。この時はまだ液晶が読めました…
八ヶ岳の山並みが右方向に連なり、正面雲海の上に北アルプス槍ヶ岳、左に南アルプスまでもが一望。喜びの声が上がりました。今日は八ヶ岳連邦を右回り。山を越えるたびに新たな景色が約束されていそうでした。
マジ感動。夏山、縦走サイコー!
昨日は雨で、今日も上にあがっても何も見られないかもしれないなという覚悟もしてましたから、感動はなおさら。
硫黄岳山頂、爆裂火口を目指して登る。晴れて日差しも強いのに気温は10度。尾根に出て風が強まり、上着を羽織る。零下10度のご来光登山もTシャツ一枚だったけど、風が強いと大違いだと再認識。今回、海外からお取り寄せ初導入の風速計は昨日の雨のせいか液晶が読めなくて役立たず。メンバーにも笑われました。まあ、数値は読めずとも、端っこのバロメーター表示から風速15mくらいかと思われます。風の強さをこれから少し体感で覚えられればと思います。
すぐそこに見えているのになかなか近づけず…耐える時間が続きましたが、広いガレた山頂部へでると、赤岩の頭の時とはまた違った角度の横岳、赤岳がクッキリ見える。昨年の風雨を避けて逃げ込んだ山頂のほこらみたいな小屋が相変わらずあった。小屋を目の前にしてようやく昨年の悪天候を思い出し、こんな狭いところに入って淹れた甘ったるい紅茶がうまかったねぇと仲間と思い出話。それに対してホント、今日は天気サイコー!
爆裂火口もクッキリと口を開けて迎えてくれ、魚眼レンズで納めて満足。思いがけずリベンジ達成。
爆裂火口。見えすぎかな…神秘性に欠ける。
横岳へ下る山の背にはケルンがポツポツ7つ立ち、近づくとそのケルンの大きさに歴史を感じました。その奥に富士山ばっちりでテンションアップ。双眼鏡を持ってこなかったことを少し後悔。
硫黄岳山荘は尾根の東側へ隠れるようにありました。小屋の中は天井に黄色、赤、紫の小さな旗が連なっててチベットの山小屋みたい?でかわいらしく、売店もお姉さんもいい雰囲気でした。みんなで味噌汁を頼んで、赤石鉱泉の朝弁当をいただきました。
ニシンの甘露煮と炊き込みご飯がメインのお弁当は何か懐かしく、十分にお腹を満たしてくれました。暖かい味噌汁は問答無用でおいしかった。湯を沸かし、昨夜使い忘れた焼酎用の柚子とレモンとはちみつでホット柚子はちみつレモン。窓の外には雲海が広がり、朝日を見にこの小屋に来るのもイイだろうなと温まりながら外を眺めました。
さて、そろそろ岩稜ゾーン。メット着用して出発。みんなカッコいいカラフルな登山用。私も注文してたんですが、予定日を過ぎても届かなくって。。。しょうがないから自治会の防災ヘルメット。私だけノーヘルで頭パッカーンじゃ悔しいじゃないですか。白メットに水色のラインが二本周って、左に梅沢自治会。正面に梅沢シール。それにサングラス。あなた何者?と笑われました。ま、安全第一です。
山荘からの長い登りを振り返れば山荘が小さくなるほどに進捗を感じ、空気の薄さを肺が訴えました。ヒイヒイと顎をあげると青い空で日差しが容赦ないの横岳への登りでした。
一瞬なだらかなコマクサの群生地を過ぎてから始まりました。ハシゴにクサリ、アップにダウン、へばりついて、乗り越えて…と。サバイバルナイフのギザギザみたいな尾根に鎖でへばりつく感じ。自治会メット持ってきて良かったと思いました。眼下に今朝出発した赤岳鉱泉と、これから行く行者小屋が見え、ぐるっと一周してる感がよかったです。眺めも楽しみつつ、落ちたらヤバいアスレチックを続けて横岳山頂。天気は槍が見えなくなってたけど順調。赤岳が近い!狭い山頂で記念写真を撮って最終目的地赤岳へ。切り立った尾根を右から巻いて、乗り越えて、今度は左から巻く。リアルに直登みたいなところも沢山。登山者同士すれ違いで譲り合ったりと、怖いけど落ち着いて進むことができました。こりゃ悪天候じゃ危険極まりないですね。絶対ダメです。
風車のある赤岳展望荘は当初の宿泊予定地でした。晴れてたら間違いない絶景の小屋ですね。時間をだいぶ押していたのでサクっと進んで、見上げる先の赤岳山頂山荘を目指す。このまた登りがシンドイ。毎度のごとく私はヒイヒイで登頂時は登れたことよりも、もう登らなくていい安堵感でいっぱいでした。それも顔をあげたときの眺望で忘れちゃうんですけどね。
感動も短めに切り上げて、下山開始。山頂ごとに盛り上がって時間が押し。お盆の帰省渋滞が待っているのでした。しかし、赤岳山頂からの下山はかなり急で、黄土色の岩がもろく、鎖にしがみつきながらの下降でした。急角度でどんどん降りていきますから、どんどん行者小屋が近くに見えてきて、小屋まで早かった印象です。膝がちょっと心配になりだしたころ行者小屋へ到着。晴れた空はまだ続いてて、テーブルには人が多く、クッキリ見える硫黄岳、横岳、赤岳に囲まれた山小屋は昨日雨に打たれて寒々とたどり着いた同じ小屋とは思えない雰囲気でした。来た道と同じ美濃戸小屋への道は晴れて木漏れ日がさして杉苔の緑が本当に美しかった。来るときは全く気が付きませんでしたが、杉林を杉苔の緑の絨毯がポコポコとした凹凸のある地表を覆っていて、独特の静けさと広がりがありました。そんなさなか、鹿と遭遇。大きな立派な鹿で見事な色つやでした。無事に下山、渋滞を下道でかわしての帰路。道中、素晴らしい山だったねと再度盛り上がりました。
来月は常念。昨年の蝶が岳を超える眺望に出会えますように!