ミクロンは軽量コンパクトの双眼鏡で100年の歴史がある現役のモデル。その分中古が見つけやすいが、カビ、ゴミが多い個体に当たることも多い。ニコンに分解清掃をできるだけでいいとお願いしても対応してくれないので、ダメもとで日本光学時代のミクロンを分解清掃した記録ブログです。
大正10年(1921年)から令和まで 百年越えベストセラーミクロン
倍率の違いはあれど、サイズ、デザイン共にそれほど変わらずに、現在も販売が続いている(ニコンホームページへリンク)工業製品。珍しいですよね。実は1974年で一度製造終了していたのに、1997年に突如復活して現在に至るモデルが販売中。
私は小さくて軽い双眼鏡として山や旅用にいいんです。アウトドア用品では100均を多用する私ですが、双眼鏡はちょっと張り込んでます。ホームセンターや、ライブ会場で売っている安い奴とはホントに違います。ほとんどの方が「ちゃんとした双眼鏡」の見えの良さを知らない。知らない方はちょっとしたカメラ店で覗いてみることをお勧めします。
ヤフオクで入手。富士山マークの日本光学旧モデル。
現行のモデルは高いので、中古をヤフオクで落札しました。
ニコンのロゴがまだ富士山に日本光学のマーク。5×15で視野角9.5°のJ-B7。倍率は5倍で現行のモデルの6倍と7倍と異なります。この倍率が低いということは視野が広く、明るく、瞳径が15÷5=3.0と大きくなります。星を見たり、薄暮の景色を見るにはむしろ良いスペック。モノが届くと外観はキレイで、革のケースもあり、シブい!レンズ内にゴミが多くちょっとかすむ感じは残念…。長く愛用したい質感なので、ニコンへ分解清掃に出すことに。
メーカーニコン 修理不能
ニコンでは古いミクロンの分解清掃を受け付けてくれない。
サイズと質感が気に入ったのでニコンに分解清掃を出したのですが。。。交換部品がないからと対応してくれませんでした。できるだけの分解清掃だけでもいいからとお願いしてもダメ。それってちょっとサービス悪くない?と思ってもどうしようもありません。古いレンズは分解してカビ清掃したことがあるのですが、双眼鏡は未知の世界。
双眼鏡の分解は光軸のズレを起こしたりする恐れがあるのでやりたくはなかったのですが…このままではスッキリしない為、しかたなく自分でやることにいたしました。
この小ささ、金属感、見えはホントにイイです。皮のケースもシブい。現行品は2万円ちょっと。レンズのコーティングがよくなっているそう。新旧並べて見比べることはしていませんが、新しいのはごみもなく、きれいに見えます(当たり前か)。
旧ミクロン現状(ゴミの具合)
↓レンズ部を拡大。けっこうゴミが…。そのせいか、霞んでみえるんです。お店で現行モデルのクリアに見える像を見てしまったので、何とかならないかとの挑戦を決意するも、お手本になる分解ブログが見つからない。 分解は時計用の工具で、元がどうだったのか写真を撮りながら。
ミクロンの分解図を発見!
追記 完了後に発見したミクロンの広告画像↓↓↓
この分解図、透視図というのでしょうか?広告のようですが、分解する者にはとてもありがたい。かなり精巧な図であることがわかります。取付部品の向き、パーツの入り方まで読み取ることができるので、これから分解するひとはじっくりみながらやられることをお勧めします。
前レンズの黒いレンズ留めは緑のゴムパッド(100均のハンコ下敷き)を押し当てて外し、ガラスクリンビューと眼鏡用クロススクリーンですみっこまでキレイにふきふき。目に見えてゴミが取れるのは気持ちが良い。その下からカニ目のリングがあり、時計用カニ目スパナで回してみるも、外せない。
後でわかりましたが、ココで回るのは対物レンズ。横にイモネジがあってそれが回転を止めています。やって分かりましたが、不用意に動かさないほうがイイです。いじった後、両目で覗いた時に左右の視点が合わなくなってしまい、困りました。つまり、恐れていた光軸をいじってしまったのです(^▽^;)
遠くの山頂を見ながら左右の目をパチクリしつついじった対物レンズの向きを回転させて元に戻しました。何とかなったのでホッとしましたね。
ワッシャーに注意!
対物レンズ側正面中央の蝶番扇の留め金にあたる部品(正面から見てど真ん中のネジ)は一か所だけミゾが付いています。そこに細いドライバーを用い、てこの原理で舐めないように回してみたところクルリと回り外すことができます。
結果として上画像のように右側のレンズ群が外れた。画像をみればレンズ正面方向に引き出せば外れるのはお分かりいただけると思います。シッカリと固定されていたせいか、精度が高いせいか、簡単にパコっと外れません。
少しずつ精密ドライバーの先などで隙間を広げるようにしていくと外れます。無理にやるとおそらくよろしくない(笑)。左も同様に外れますが、ネジ止めしていたところに両面にワッシャーが付いているので、知らないと汚れを取る際に落としてしまうかもしれないので要注意。
レンズを内側からもきれいに掃除をして戻す際に、正面の一つ溝のネジをきちんと締めないと左側のレンズ部品がカタカタと動いてしまう。ドライバーで慎重に締めました。覗いてみるとレンズのごみはまだ健在。
プリズムの掃除。慎重に‼
前面側のプリズムカバーをドライバーで外します。ここでカランとプリズムカバーから部品が外れて出てきたのでやや焦る。色からして真鍮?プリズムは察するに左右対称と思われます。割とクロスが汚れ、キレイになった感アリ。プリズムカバーから外れた部品は形から、プリズムを押し当てて固定するものだと予想。
ひとまず接着はせず(接着剤で光学的に影響が出るかもしれない為)そのままピンセットで元に戻してカバーをネジ止め。特にがたつき、異音はしないのでこのまま使用。
次に接眼部側のプリズムを清掃。
鉛筆で32と本体側とプリズムに書いてあるのを発見。つまり、ソコは書いても問題ないという位置なのでしょうね。こちらのプリズムカバーの内側には先ほど前面側のプリズムカバーで外れていた部品がそのままくっついて入っていました。
ショックで外さないように慎重に取り扱い。プリズムをよく拭いてもとに納めて完成。
画像で見ると少しまだ残っていますが、かなり減りました。初めてのミクロン分解にしては上出来。
ごみ取りを終えて。
掃除をしていて最も困惑したのは光軸をずらしてしまったこと。覗いてみて左右の目の像がすっきりと脳内で重ならない…それはきっと光軸がずれたため。
改めて調整法を記しておきます。
レンズ正面側から黒いリングを外し、レンズ部サイドのイモネジを緩めてレンズの向きを回転させてみてください。レンズ向きはよく見るとレンズを取り巻くスペーサーの厚みが異なります。鉛筆などで印をつけるとわかりやすいかもしれません。私は1/4回転ずつ回しては覗いて調整しました。
無事に分解清掃を終えてミクロン君はお山で、チャリ旅に活躍中です
古い双眼鏡の修理をしてくれる専門業者
こちらのブログを読んで、私にカビたミクロンを掃除をしてほしいという依頼をいただきました。大変うれしく思いましたが、もう一度分解して元に戻せるかわからないレベルですので、代わりに修理業者を改めて探してみました。
ヒントはクラシックカメラ専門の修理業者
ニコンクラシックカメラ専門の修理工房なら、どうかと思い出して調べたのですが、双眼鏡はひとつも実例がない。そこで、双眼鏡は双眼鏡で別のプロがいるのでは?と双眼鏡専門の修理業者を探して見つけました。
東独カールツアイスイエナが専門のようですが、国産のポロプリズムも修理対象のようなのでミクロンも対象?ではないかとおもいます(一般的双眼鏡、まっすぐな筒二本の双眼鏡はダハ式)。なので、コチラに相談されるのが良いのではないかと思います。
というか、こちらのお店、私がすごく興味をそそられました。
長年カメラを触っていたフェチ的な喜びを与えてくれそうな匂いが立ち込めています。日常的に双眼鏡を覗くわけではないのに…。オヤジがバードウオッチャーで、定番のニコン8×30を持っており、ライブコンサートで借ります。広い視野、立体感、ぬけの良さで十分に生々しい迫力に興奮しましたが、アレの上かぁ… 。ミクロンと8×30で我が家は十分贅沢…だと思っていましたけど、そそりますね。こういう物欲、スマホ時代になってなくしていたんで触発されます。旧カールツアイス双眼鏡はヤバそうな沼ですが、終着駅にも思える…。 おこづかい貯めよう!
山登りのサイト(山の記録、山の料理、キャンプ、道具)を写真を交えて更新中です。よかったらご覧ください。ミクロンも活躍中。
工具は適切なモノを使わないと…壊す原因になります。
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