お米の炊き方
普段コメを炊くといえば普通、電気炊飯器だし、アウトドアならアルファ米が普通(?)
山に行くためだけなら、炊飯はできなくても困りませんが、台所のお米で炊飯ができたら災害時にカセットコンロで炊飯できるし、ピラフや炊き込みご飯を外ごはんでできたらステキだと思いませんか?そうは思うけど、炊飯器慣れした現代人にはとっても敷居が高いのが炊飯器を使わない炊飯ですよね。そういう方のために記してみました。小屋泊、テント泊ならたっぷりある時間で炊飯にチャレンジしてみると楽しいですよ。大丈夫!失敗しても食べられるし、リカバーする手段がありますから。
おこめ 台所のいつものコメでいつもの白いごはんを目指す。
米は無洗米が調理前に砥がなくてよく、水の節約につながるが、無洗米でなくても大丈夫。米を砥いで、ざるで干してから持って行くという無洗米がなかった時代の手法もアリです。持ってくるときには一合、二合くらいのビニール袋に小分けにすると調整が効いて便利。水は家から持っていくのか、ルート上の水場が確実に使えるのかを確認しておく必要があります。話はそれますが、私はかつて、学生時代の合宿で前夜の悪天候で予定していた水場が使えず、大変苦しんだ思い出があります。パーティを組むならば個人の水とは別にパーティ用の水を確保、分担するのが安全です。
一合ってどのくらいのご飯の量??
コンビニのおにぎり3個が一合くらいの目安だそうです。学生時代は夜飯は一人一合でしたが、もはやそこまで食べませんね。スキヤキ山行では男性2名と女性3名。夜ご飯と翌日の朝ごはんを合わせて一人一合で計算。2合と3合で2回炊きましたが、これは炊飯できる量、クッカーが一度に5合炊けなかったからです。私の常用する100均の使い捨てアルミ鍋だと3合までしか炊けないのです。
お鍋 お山で炊く=鍋が重いのはたいへん。
何人で何合炊くのかで鍋は変わってきますが、鍋ふたは必要。シェラカップにアルミ箔で炊飯している動画などもありますね。300-400㏄のクッカーで一合くらいだと思います。クッカーの説明書があれば見てみるといいかもしれません。炊飯専門の飯盒は内蓋で内圧が高まる仕組みだそうで、さすがに専用クッカーですが、飯盒でもメスティンでもなんでも基本は一緒です。
鍋の材質ですが、炊飯だけを考えればおススメはアルミ。熱伝導はチタンやステンレスより良いので、焦げ付きにくいです。いずれの素材でも炊けますし、油断すれば焦げますけれどね(笑) クッカーはいろいろありますが、私のお勧めは
トップ画像にもある100均の使い捨て鍋焼きうどんアルミ鍋。
ひとり、二人なら、通常のソロクッカーセットで足りると思うのですが、炊飯はまず、ソコが焦げ付くと考えてください。火加減がわかるまでは…。コゲつかせるとゴリゴリと後のお掃除が大変です。コーティングも気を付けないと一発で剥がれますよ。わずか100円、軽い。蓋も併せて200円です。アルミホイルを蓋代わりに使うのは強度不足、気密性の低さからお勧めしません。メスティン、ソロクッカーは火加減に慣れてからでいいと思います。大きいコッヘルやアウトドア用の鍋は無くても大丈夫です。
バーナー
ガスバーナーは使うお鍋が安定して乗るかどうかがポイントです。ヘッドが小さい場合は上の写真のような焼き網を使うと安定しやすいです。
水の量
無洗米はコメ一合に対して水1カップ200㏄を入れる(自分のいつものマグカップなどに自宅で200㏄がわかるように印をつけておくと便利!)
伝説的コメと水の量の目安
【米も水も軽量できない場合、鍋に米を入れ、米を鍋の中で平らに整えて、鍋はしに指を一本入れて中央までたぐるときにできるコメの山が水からちょっと出るくらいの水の量を注ぐと適量と言われている。コレ、意外と効きます】
火にかける前のポイントとしては芯を残さないため点火前に水を入れて水分を吸わせるために30分は待つ。無洗米は読んで字のごとく米を洗わずに食べられるというもの。砥ぎ汁が透明になるまで洗う方がいらっしゃると思うが、下水道の完備されていないお山での炊飯ではNG行為。それはコメのとぎ汁が環境に与える影響が大きいとから。その影響は直の焚火の比ではない。
適量の水が入ったら、蓋をする。クッカーにぴったりの蓋がある場合はそれでいいが、余裕があれば重しを乗せて、少しでも蒸気が逃げないようにするほうが芯が残りにくくおいしい。飯盒の構造をできるだけまねるのがイイ。私おすすめの100均アルミ鍋に100均鍋蓋の場合、蓋からはみ出る下のアルミ鍋の淵を蓋側に曲げて気密性を高めるのがポイント。上の写真を参考にしてください。
さて、点火!
火加減が重要なのでガス調理をお勧めします。そして、火加減についてですが、伝説的米炊きの歌を知っていますか?(やや年齢が高い方の呪文(笑) はじめチョロチョロ、中パッパ!赤子泣いても蓋とるな が断片的にポイント抑えているが…コレは解説が必要。
初めチョロチョロは弱火。え?弱火?むかし、そう思いました。米に水分を含ませるのにはお湯のほうが早く吸い込むから、強火で一気に沸かさずに弱火。長年かって謎が解けました。私は5分くらい弱火。コメを水に浸している時間が短ければ、この弱火の時間を延ばすのがイイ。
中パッパ!は強火。弱火timeを終えて、本格的に炊きに入る。この時に鍋蓋に箸などで触れて、振動で沸騰したかどうかを判断する。指先に集中。コツコツ→ゴツゴツとしてきたら沸いてきた証拠で、鍋蓋の隙間から蒸気が出る。炊飯の香りが充満する。弱気で火が弱いと沸いているのかの反応振動が鈍く、失敗率が上がる。勇気をもって強火(全開は強すぎで焦げる。この匙加減はムツカシイ。中火でもイイ)釜の中の振動が無くなったら、コメが水を吸い切った状態と考え、弱火へ。まだ中のグツグツが残っているのにお米の焦げ臭いニオイがしたら黄色信号。即弱火にし、グツグツが無くなるのをじっくり待つ。
この強火にして沸くまでの時間は気温、水温、コメの量、そして標高によって異なる。いかに高級なスントの時計も役に立たない。弱火にして中の沸騰した湯がコメを蒸かして吸われて水分が減り、ゴツゴツした感触が減り、ブクブクも収まっていく。どこで弱火を止めるかといえば無振動で、香ばしいおこげの香りがしたらそろそろ止めるころあい。おこげが好きならば香りを楽しみつつ長めに。
赤子泣いて蓋とるな:火を止めてできたかどうか気になるところだが、ふたを開けるのは厳禁です。炊飯器でしかお米を炊かない人は知らないと思うのですが、お米は炊いて、蒸らして食べるもの。電気ジャーと違って保温機能もなく、寒空の下で安易にふたを開けたら熱気が逃げてお米に芯が残ってしまいます。焦らずにタオルや着替えで包んでおくと冷めずにいい。飯盒など鍋ごとひっくりかえせるものは返すとなべ底からごはんがはがれやすくなる。蒸らしの時間でおかずの調理をするとちょうどいいように手順を決めておくといいですよ。初めは炊飯の失敗の可能性も考えて、おかずの仕込みが終わって火にかければおしまいってところで炊飯の蓋を取ってみましょう。
リカバー術
パターン壱 べしょべしょ系
まだ鍋の中に水分が多く残っている状態。ここでまず、コメに芯が残っているかどうかを確認。残っていれば再び蓋をして弱火で加熱。失敗の原因としては中パッパの火力が弱く、完全沸騰時間が短かったためか、沸騰が続いていたのに中の振動が終わったと勘違いして、早く弱火にしてしまったか。いずれにしても火が足らなかった結果、芯が残ったと考えられます。コゲ付注意。芯が残っていないべしょべしょは水分が多かったのが原因。冷めるのを覚悟で蓋を開けて混ぜるか…我慢して食べるか。
パターン弐 パサパサ系
水分が足らなかったことが原因。コメに芯があったら少量の水を炊飯に加えて弱火で蒸して調整。お湯があると早い。水分の入れすぎに気を付けて。芯がないパサパサなら、すこし水なり、お湯を振りかけて混ぜ、ひっくりかえして少し置くとなじんでだいぶマシになる。
パターン参 焦がした
おこげをはるかに超えて焦げたとなべ底ファーストタッチで分かった場合、なべ底からコゲを混ぜないように上側からそろりそろりとご飯を取り分ける。ハッキリとした焦げが混ざると焦げ臭くて悲惨。
読んでもよくわからないと思うので、お家で炊くことが重要。それと、仮に炊飯が失敗しても水分が多いか少ないかで食べられるわけですから、あまり神経質にならない方がよろしいかと。自分のタイミングでウマく炊けたとき、とってもおいしいです。炊き込みご飯、ピラフへも転用可能な技です。災害時にも役立ちます。ぜひやってみてください。
手際よく炊飯するヒント
吸水から初めて少なくても一時間はかかると思います。慣れていないともっとかかるでしょう。なので、吸水時間におかずの材料を切ったり、湯を沸かしてテルモスに入れておくとか、テント泊なら設営前に米の吸水から始めるとかの工夫があると時間が無駄になりませんよ。
炊飯時間の短縮方法
吸水時間から始まり、蒸らし完了までトータルで炊飯時間は60-75分くらいかなと思いますが、時間短縮が可能です。ポイントは吸水時間の30分。コレは登山前からペットボトルに定量のコメと水を入れて登山してしまう事。調理時、ペットボトルから水分を吸ったコメは取り出しにくいので、ナイフなどでブスリとペットボトルを切ると早い。ペットボトルを使うのはモレが怖いから。この方法だとコメは十分に水を吸っているので、火加減はいきなり全開で沸騰までもっていって大丈夫。これで30-40分くらいは短縮できると思います。そうなると炊飯が30‐40分で終わりますから、2バーナーあれば1時間のごはんタイムでご飯、味噌汁、おかずもできちゃいます。炊きたてごはんで山を満喫したいですね(笑)
たべものがかり
炊飯とは似て非なるリゾットはこちら。マギーブイヨンを使ったら簡単。
ごはんがあればこそのメニュー焼肉
2,400mでスキヤキ。〆はごはん