料理だけでなく、すべてが上質で心地よい空間。小田原円相

本物の和食を食べてきました。小田原の懐石円相。二週間前、 私のゴハンの友であり、食の先生、珍さんが予約してくれたお店で小田原の歴史のある旧家のお屋敷も近い本町にあります。

実に控えめに、しかし、シンプルで潔いお店の外観。そして中は…↓

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コレは…場所と言い、超高級なヤツだ…大衆なワタシは雰囲気に無意識にカタくなったのですが、朗らかで明るい奥様に招き入れられ、いつしか骨抜きにされました。上記リンクは帰宅後に知り、やっぱりという感じでした。

お店はカウンター5席とテーブル席。明るく、白木を基調とした舞台が広々と感じられました。

車海老、ふきのとう、ふきの黄身酢掛けと車海老の頭の素揚げ

フキの香り…とおだしがスッと入る。ああオイシイ。フキってこんなにおいしかった?苦味がほとんどないのに、香りと、フキらしさはまるで損なわない。いや、苦みはあるんだけど、苦くない?あれ? 車海老はしっとりと、弾力があり、黄身酢でウマイ。なんたる丸い優しい海老の味。黄身酢の柔らかい酸味がさらに食欲をそそります。

シャクシャク。ボディを味わった後、車海老のアタマの頭からカプリといただく。カラリとおいしい。奥歯ですりつぶすと、どんどん濃い味が出る。なぜ、苦味や雑味がない?油のイヤな匂いは最後まで感じられない。 居酒屋ならビールだろうけど、洗い流したくないから日本酒がピタリ。

エビ一匹の素材からの二品。異なるおいしさを思い出して、吐息混じりに恍惚とするのですが、写真がまるで追い付いておらず、腹立たしい。すみません。

美しい盛り付け、そして器です。目にもおいしいお料理が続きました。食べすすめた後の器を眺めてステキだなと思うお店はかつてあっただろうか。

今朝採れた生わかめとハマグリ、竹の子、紫大根のお碗

わかめの香りがお椀全体に漂っている。口に含めばハマグリがハマグリして、ワカメは薄く柔らかいけど噛むと歯応えがこぎみよく、香りがまた広がり、ダシと一体化してまた美味。竹の子に特有の渋みエグミがまるで無く、軽く圧をかかるとサクッと割れる歯ごたえ。木の芽の香りとワカメ。コレが春の香りか…。ココに入って身を清めたい。

甘鯛の煎り酒₍刺身と揚げた皮₎

コレは何?珍さんが教えてくれました。この汁、タレは煎り酒といい、醤油の前の調味料だと。

へぇ。ひとつ刺身を頂いてみる。うめ?しお??きめ細やかな身質でおいしい。ワタシは煎り酒だけをチビリ。 はあぁ…梅の香りと柔らかな潮にふくよかな旨味です。それだけで呑める塩気。それに負けない甘鯛の刺身の美味しさ。日本酒が一層おいしい。

芽ネギの下でカールしているのは甘鯛の揚げられた皮。刺身と煎り酒から、揚げられた皮とに煎り酒と組み合わせが変わると…揚げられた細かなサクサクに濃厚な皮のゼラチン質でガラッと変わって、これも美味で、いつまでもモグモグしてました。ホントに素材を一番おいしく提供する事に手間をかけるんだなぁ。

黒アワビと白アスパラの椿油焼きウニのせ

ウニウニと短絡的に喜んでしまったけど、主役は黒アワビであり、白アスパラ。アワビはあまり食べ慣れないけど、この黒アワビさんは柔らかくてコシのある弾力だ。ウニの優しい甘さを絡めて絡めて食べるとアワビの味がでてくる。

白アスパラの優しい甘さなのか、椿油のもつ風味なのか、おいしいお野菜。ウニを絡めてもしあわせ。

八寸 メヒカリの揚げ物、ホタルイカのカラシ和え、空豆、フキのお豆腐

八寸

メヒカリは外側が極薄い皮で、その中はホクホクと柔らかい身質。唇で咥えて歯で触れると皮がパリッと割れて中から白身がこぼれてくる。中の身はホント、柔らかく、でも、しっかりとした味。繊細だけど、力強い。衣のついたフライなら、この身の味に多分ワタシは気がつけない。この薄皮もまたウマイ。三本あっという間。

ホタルイカの絶妙な茹で具合で、剣先が舌の上でそよぐ。このカラシが超絶おいしい。色も鮮やかで芽ネギ?に生える

空豆、ちょこんと乗ってるけど、食べるとものすごい濃いの。塩気じゃなくて豆味が。ホクっとしてコレはビールも上品に飲めそう。

自家製というフキの豆腐は初めて食べました。フキの良い香りが広がる。上に乗る山葵とフキ豆腐を食して山の中の香り、緑を思い出しました。

のどぐろ山芋巻きとキンカン

魚にかかる山椒醤油。カドが全くない香りの良い醤油。山椒の粒はそれだけでもしょっぱくなく、極めておいしい。優しい痺れ方と香りは醤油のやわらかなコクと共にあり、魚のウマさに手を添えてくれる。

身はほろり。山椒醤油でいまだない美味しさ。山芋巻き?という聴き慣れない。巻きというには巻で食べるべきということ? 珍さんをまねて山芋と一緒に残りをバクリ。口内にて融合される味に驚く。もっちりの山芋と香ばしい皮、白身に山椒醤油が…混ざり…うまい。仕上げはキンカン。キンカンの香りと甘さが口内に残る余韻に合って、ここでも味が広がって、また余韻を楽しむ。

天ぷら 煮アナゴ、島らっきょう、白魚

らっきょうの天ぷらは初めて食べました。香りがよくおいしい。ウチの畑でもできないかな。

アナゴ、わざわざ煮て、揚げる? 箸で持った感触は割としっかりとした硬さでした。細かなお塩をぱらりと落として齧ると、中はふくふくと柔らかいアナゴで、アナゴの味が濃くて、ワッとなりました。何がどうしてワッとさせられたのか分かりませんが、店主の出した答えが煮て、揚げるだったのでしょう…びっくりアナゴ天でした。

白魚の天ぷら。こういう天ぷらって、すこし苦味とか、臭みとかあったはずだよなと、不思議に思えるほど雑味がなくてウマイ。野菜も、お魚もみんなそう。雑味が…ない。

お頭のほぐし身とグリンピースご飯と漬物、お味噌汁

中田さんが大きな厚みのある陶器のお釜を持って登場。魚の良い香りが漂う。口に入れて、あ。生姜。ついでお魚の旨味、ご飯、グリンピースと程よい塩味。モグモグすると胡麻がはじけてまた香る。すぐに平らげておかわりいただきました。

お味噌汁は赤だしにワカメ。ワカメ、再び食べられて嬉しい。美味で、歯応え、香り良し。赤味噌おいしいなぁ。

イチゴとデザートゼリー

上からはっさく、ミルク、小豆ゼリー。さっぱりハッサクの酸味と香り、ミルクと小豆の食感の違い、甘味が混ざるとまたおいしい。美しいスプーン。最後のデザートまで下へ食べすすんで「おっ?」という楽しさとおいしさを美しく提供してくださって本当に感激でした。

料理をしてくださった中田さんは、たびたびカウンターにて料理の説明だけでなく、伊豆の話など気さくに話してくださって、給仕してくださった奥様と共に、にこやかで、素敵な方でした。お料理はもちろん、お店の空間全体も雑味がなく洗練されて美しく、とてもいい時間を過ごすことができました。

あの夜を振り返って…

また行きたい。金額的には一般的なお店で5000円の料理が何回か食べられるけど、何回食べても円相で味わった喜び、安らぎ、新たな味覚は得られないと思う。分割したらたどり着けない領域かもしれない。また、本当の一流店っていうのはこういうものなのではないかと教えていただいた気がします。

こんな庶民な私にも一流のサービスを提供してくださった中田ご夫妻に感謝と、この店へ導いてくれた珍さんに感謝。ああ、マジで至福の夜でした。

帰宅後、ブログ作成に当たり、ネットで中田さんの経歴を知り、すごい人のゴハンをいただいたのだと自覚(;^ω^) そのすごさは巻頭のfacebook AERAさんの説明にある通り。お店の名刺が素敵だなと思っていたら、検索でこちらもヒット。円相が美しい空間であることが判るのでよかったらご覧ください。

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